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大きな損失だと思った―現行の「Ingress」とiOS12の関係

現行の「Ingress」とiOS12の関係について感じた事を書いてみる。

こんな投稿を見かけた。

 

【重要 iOS12にアップデートすると現行のIngressは起動しなくなります】

あなたがIngressをプレイしてる端末がiPhoneなら、これからやってくる新しいiOSのバージョンについて聞いたことがあるかも知れませんね。もしあなたが現行のIngress( #IngressPrime ではなく )をiPhoneで操作したいなら、iOS12にアップデートしないでください。Ingressが稼働するRoboVMの開発はすでに中止されておりサポートされないからです。RoboVMがiOS12上で動作しないためIngressも動作しません。すでにiOS12β版が稼働している端末がありますが、RoboVMベースのゲームに関する不具合が報告されています。

#Scanner

出典:Enlightened Today Japan on Google+, "【重要 iOS12にアップデートすると現行のIngressは起動しなくなります】", Retrived from: https://plus.google.com/+EnlightenedTodayJapan/posts/HuMxPtNDaE7, posted on August 28th, 2018, last accessed on August 31st, 2018.

(上記のアカウントはIngressNianticとの提携関係はありません。有志によるものです。)
Ingressが稼働するRoboVMの開発はすでに終了していてサポートされないというのは、以下のニコニコ大百科や有志による投稿にもある通り。

dic.nicovideo.jp

 

なぜこのタイミングでIngress Prime移行が必要になったのかについての、Fevgamesの解説記事の翻訳です〜。そもそも今の開発基盤自体がディスコン(開発中止)になってたんですね。
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なぜIngress Primeが必要なのか?
December 12, 2017 . by Robert Walker
https://fevgames.net/why-ingress-prime
投入予定のIngress Primeについてさまざまなニュースが流れる昨今、ここで「なぜNianticIngress Primeを作っているのか? いま我々が遊んでいるIngressは何がまずいのか?」を検討してみるのも意味のあることだろう。

新しいゲームエンジン
おそらく、新しいIngressクライアントが必要となる最も切迫した理由は、Ingress Classic(現行Ingress)に、RoboVMという、AndroidiOSで動作するアプリをJavaで開発できるテクノロジーが使われているからだろう。XamarinはRoboVMを2015年10月に買収し、その4ヵ月後、今度はMicrosoftがXamarinを買収した。XamarinのMono C#コンパイラと関連技術はMicrosoftの興味を引いたが、Java関連技術は…そうでもなかった。買収発表から2ヵ月後、MicrosoftはRovoVMを開発中止した。こうしてNianticは問題を抱えることになった:すでに死んだ技術の上に構築されているIngressは、今後はモバイルプラットフォームと歩調を揃えて進化ができなくなるだろう。Ingress Primeのクライアントは、ポケモンGOと同じく、本質的にはUnityプラットフォーム上で1からコードを書き直されたアプリだ。これによりIngressは、モバイルテクノロジーの進歩とともに成長し続けられるようになる。

ポケモンGOとの技術共有
このアップデートにより、NianticIngressポケモンGOの間で共通部分のコードを統合できるようにもなる。これは、コードの複製のために労力を費やさずとも、ひとつの改良が両方のゲームにメリットをもたらすということを意味する。たとえば、GPSの動作改善やチート対策をそれぞれのゲームに向けて行うのではなく、NianticがこれらをコアARエンジンに統合することで、両方のゲームがその恩恵を受けるようになるというわけだ。

マズかった部分の手直し
IngressNianticの手がけた最初のゲームであり、その開発途上では、やむを得ず、今であれば違う方法を選んでいたであろう技術的決定もいくつか行われてきた。Ingress Primeはそれをやり直すチャンスになる。Ingress Classicのコードベースは5年前のもので、彼らは色々な部分をアップデートしたいと思っている。彼らはIngress Classicで過ちを冒し、そこから学び、ポケモンGOでテストした。今では彼らはもっと大規模な開発部隊を擁している。Nianticにとって、これはIngressを本来意図していた形でプロデュースする機会なのだ。

Ingressに新たなエージェントを惹き付ける
我々はなんだかんだでIngress Classicの比較的シンプルなUIを愛するようになったが、5年が経った今、これがイマドキのモバイルゲーマーの目を引かないということは認めざるを得ないだろう。どこか上辺だけのチュートリアルも初心者を引き込むための救いにはならない。ピカピカの新クライアントは大量の新規エージェントを惹き付ける機会になるだろう。

Ingress Primeが困難に見舞われる可能性もゼロではない。過去5年間にIngressに行われてきた改修は、変更に反対する一部エージェント達の憤激を呼び起こした。一部のエージェントは変更を嫌ってアプリをアンインストールした(特に非力なデバイスを使っていたエージェントに、諸変更に異を唱えた人達が多かったように思える。グラフィックをシンプルにする諸オプションで彼らをなだめるのは長い道のりとなっただろう)。

そこそこの規模のアプリには必ずバグが存在する。Ingress Primeの最初のリリースを機能面ではIngress Classicと同じものにするというの方針は、自分の意見では、賢いやり方だと思う。アプリを完全に作り直すというのは、新機能を導入しないにしても、充分に高いハードルだ。

Ingress Primeを「second system effect」---シンプルで効果的な、成功を収めたシステムを、肥大化した糞に置き換えてしまう失敗---の実例だと考える向きもあるかもしれない。確かにそういう可能性もある一方で、コードベース統合によって得られるメリットには無視しがたい重要性がある。機能的同等性を維持するという方針も、少なくとも当面の間は、肥大化を最小限に抑えることに役立つだろう。

我々はみな、Ingress Primeが素晴らしいものになることを願っている。それが実現するかどうか判断するにはもう少し時間が必要だろう。

---Robert Walker

出典:muchonov Murakami (muchonov) on Google+, "なぜこのタイミングでIngress Prime移行が必要になったのかについての、Fevgamesの解説記事の翻訳です〜。", Retrived from: https://plus.google.com/+TakanoriMurakami_mucho/posts/jhLGRCFVtNA, posted on December 13th, 2017, last accessed on Augus 31st, 2018.

しかし、端末のセキュリティの観点からOSのアップデートが重要なのは確かだ。

iOSIngressのプレイヤーにとっては、セキュリティのためにOSをアップデートしたいが、現行のiOSIngressをプレイするためにはOSをアップデートできないというジレンマが発生している可能性があるという点から、大きな損失だと思う。

それに、経営の観点云々はともかく、Nianticとっては大きな損失ではないかと思った。

――どの国でユーザーが増えていますか。

(談:ジョン・ハンケ氏) 詳細は明らかにしていないが、ユーザー数は1位が米国、2位が日本、3位がドイツ。中国語や韓国語など、10カ国語以上に対応しており、1100万ダウンロードを突破した。特に成長しているのが日本市場で、昨年7月にiOSに対応してからは2600%増となった。

出典:東洋経済オンライン(2005年6月29日)『外で遊ぶスマホゲーム「Ingress」、真の狙い』https://toyokeizai.net/articles/-/74860?page=2より、2018年9月1日参照。

iOS版リリースというのが日本では重要な要素であったこと

『ポケモン GO』や『イングレス』は、 ビジネスや社会にどのような影響力があるのか - blog-RuinDig

NianticのCEOであるジョン・ハンケさんへのインタビューやNiantic Japan(株式会社ナイアンティック)の代表である村井さんの講演から、iOS版のIngressアプリというのはNianticに大きく貢献しているのではないかと思った。

そういう点から、現行のiOSIngress(バージョン1.132.0)*1がOSを更新すると動作しなくなるというのはNianticにとって大きな損失ではないかと思った。

2018年10月には現行の「Ingress」の後継となる「Ingress Prime」がリリースされる予定だ。Ingress Primeの開発環境はUnityであるとされている。関連記事をいくつか紹介する。

www.itmedia.co.jp

app.famitsu.com

app.famitsu.com

追記:2018年9月1日の時点で、NianticからiOS12における現行のIngressについて公式な案内は出ていない(確認できていない)。

2018年9月12日追記:

ruindig.hatenablog.jp

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